もう紅葉?

一昨日まで、信越国境の秘境 秋山郷 に行ってました。
近年、あちらでよく見かける風景がこれです。

豪雪地域はもう紅葉しているのかな?
と思うかもしれませんが、近づいてみると…

こんな状態で、木が完全に枯れています。

実は日本海側を中心に今、森林に大被害が出ている ナラ枯れ にやられているのです。
ナラ枯れは、昨年までは秋山には見られませんでしたが、どんどん広がっています。

今回、初めて枯死した木の根元をじっくり観察することができました。
すると、細かいおが屑のような木の粉が一面に散っていました。

虫の開けた穴も見られます。

この犯人は カシノナガキクイムシ という小さな虫です。この虫が餌となるカビの胞子を背負って木の中に入り込みます。そしてカビが木の中で繁殖すると、水を吸い上げる木の中の導水管を塞いでしまうのです。そのために木が枯れてしまいます。主にナラ類の木が被害を受けます。秋山あたりではミズナラが中心です。ブナには入りますが、枯れないようです。
今、ナラ枯れは全国各地、とくに日本海側を中心に激烈な勢いで広がっていて、大問題になっています。
http://www.juno.dti.ne.jp/~tkitaba/earth/forest/naragereinfo.htm

林学の人たちはカシノナガキクイムシを問題にしますが、自然地理学の研究者の中には、酸性雨で土壌が酸性化し、それが森林全体を弱らせていることが背景にあるのではないかという人もいます。

さて、問題は相模湖の方は大丈夫なのか、ということです。
今のところ、被害は日本海側が中心ですが、安心はできません。
昨日、うちから見える山に枯れ木があるのを見つけました。

地域的に考えてナラ枯れではないと思いますが、こういう木の色に秋山で見慣れてきただけに、ドキっとさせられます。

この問題の背景には、人が森林を使わなくなって放置したことがあります。
昔はナラ枯れが起きても、枯れ木があれば人は喜んで切り倒し、薪にしてしまいました。
それならばカシノナガキクイムシは広がることはありません。
が、今は森林が全く使われず、被害木が放置されるために、次から次へとナラ枯れが広がっているらしいです。

皆さんも出かけた先で不自然な枯木が山に点在していたら、注意して見てみてください。
太平洋側に拡大しないことを祈りますが、万が一発生したら、せっせと薪ライフを実践しましょう!