5月26日(土)・27日(日)古道具お渡し会

行き場がなくなってしまった古道具をメンバーにお渡しする会をおこないました。


行き先がわかるよう、何をどなたに何点お渡ししたかのリストを作り、お渡しした物はお渡しした方と一緒に写真に撮りました。

2日目は隣町の地域通過グループにも声をかけ、たくさんの方々にお越しいただきました。


こんな方もお越しに・・・



どうか大切にお使い下さい。



主催者より〜
2011年3月12日に長野県北部地震が発生し、震度6強地震に見舞われた長野県栄村が大きく被災しました。
たまたま十数年前から同村で古文書調査を続けていたご縁で、震災後、文化財の救出・保全の活動に携わることになり、以後ほぼ毎月1回のペースで栄村に通いつづけています。

この活動の中では、損壊した古民家や土蔵の中から古民具や古文書などを大量に救出し、村内の古い分校校舎に運び入れました。
しかしとくに古民具については同種のものがかなり多く、保管スペースも不足していることから、救出を断念したものが相当数ありました。それらはそのまま重機で建物ごと破壊されて処分されてしまいました。



たまたま連絡を受けてあるお宅の土蔵で救出活動をした際、運びきれない古民具がたくさん出てしまいました。あまりにもったいないと思い、ダメもととは思いながらゴエモンの高橋さんに現地から急遽連絡をとってみたところ、翌日2トントラックを調達してお仲間と栄村まで駆け付けてくださいました。
そして救いきれなかった古民具をトラックに満載して日帰りでこちらに運んでくださいました。
今、その民具は高橋さん本宅のガレージ内に保管していただいていました。
昨年9月には、ゴエモンの皆さんのご協力を得て、それら民具の簡単なリストづくりも行いました。

今回は、それら古民具の頒布会です。

とはいえ、私たちは古物商ではなく文化活動に携わる者ですので、古民具を販売して利益をあげようとは考えていません。
多くのボランティアの方々の献身的な協力で救出されてきた古民具です。
ただ、行き場がないのです。
もし皆さま方に長く大切に使っていただけるのであれば無償でお譲りしたいと思っています。
これは「分散保管」と言いかえてもいいかもしれません。
古物商の販売と異なる点は以下のようなところです。
 ?無償でお譲りする。
 ?もらっていただける方のお名前とご住所を記録に残し、どの民具がどなたのところにもらわれていったかをわかるようにする。
 ?末永く大切に使っていただく。
 ?こんな風に使ってますよーというようなご連絡を後日教えていただければありがたいと思っています。

なお、自然な使い方でモノが傷んだり壊れたりしていくのは、形あるものがたどる自然な運命ですので、それはお気になさらないでください。
救出したことで、モノの寿命は断ち切られることなく、延びました。
どうか大切に使ってあげてください。



別件ですが、栄村での活動に参加してくれている友人から、長野県上田市にある旧宅を知り合いが取り壊すことになったので、運び出せる民具やモノがあったら持っていって欲しいと依頼がありました。
今月11日に引き取りに行き、わが家の車に満載して運んできました。
この古民具やモノも同時に頒布します。



参加者の方より〜
 先日お分けいただいた上田の薬箪笥と、このところ、二人で「格闘」して
おります。 まず、破損個所の修理。 もともと、竹釘の使ってあったとこ
ろに一部鉄釘(洋釘) がうってあり、それらが腐食。 そこで竹串を削り
ボンドをつけて打ち込む。 抜けた竹釘を観ると、丁寧に削ってありました
が、一部は機械生産と思しきものもあります。どうしようもないところはス
テンレスねじ釘を打ちました。 また木部の欠損箇所は、おが屑をボンドで
練って塞ぎ、その上から美濃紙を貼り付けました。
 引き出しの大部分は桐製。 先人が桐材を大切に使っていたのかが解りま
した。まず、なにに使ったのか定かではない古材を目立たぬところに多用。
 節穴の如何しようもない板も内部に使用、 これも穴が抜けている部分を
修理。 修理と並行して、合成漆を外側一面に塗装。 ちなみに合成漆は安
価ではないのですが、ほとんど漆と同じで長所は紫外線に強いところ。 私
の好きな塗料のひとつです。 脱線ですが; 初めて使う人は、なんと、か
ぶれることあり。さらに脱線すれば、私は盆栽のハゼをいじることがあるの
で平気。
 それにつけてもこの」箪笥をわたくし共に賜った皆様、とくに主宰者さまの
ご苦労を考えると、どう感謝をあらわしていいのか。 有難うございまし
た。 以上とりあえずのご報告です。
 あっ、忘れていました。 この箪笥一つ見るだけで、いかに日本人が手仕
事に優れ、ものを大切にしてきたのかが解り改めて、この国に生まれたしあ
わせを感じました。